ヘルス灰皿1

ごろごろとした人参、じゃが芋、玉ねぎのような白くて丸いものなどといったものを深めの鍋で煮て白くて丸いものを抜いて食ったのは昨日の晩。8時集合のビル掃除のアルバイト、生活の命綱を握りしめるための7時42分の電車を乗り過ごす。こうなったのも全部改札の前でねっとりまつわりついてきたあの黒い液体のせいである。他でもない。怒りを紛らわす術も知らずただ右足のかかとにまとわりついた黒くて悪臭すら放つ卑猥なそれを自動販売機の横に座っている墓になすりつける。あぁ最悪だよ。軽く舌打ちして次にやってきた四角い箱に右足から体重を預ける。その箱には腐ったみかん。腐ったみかん。腐ったみかんがごろごろと。気づくと見て見ぬ振りをしていたジャケットのほつれが徐々に膨らみ、破裂。パーンポーンなどふざけた言葉をぬかしながら腐り始める。あぁだめだ、やめだ。なーんでわたしこんなことしてんのよ、あんたのためになんでよ。などと考えるも箱は止まらない。止まらないのだ。やめられないとまらない、かーっぱえびせん?ふざけるな馬鹿野郎。ようやく止まった腐ったみかん箱、8時2分。ギリギリセーフ。舐め腐った世界だな